平家物語・巻第一(原文・現代語訳)
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巻第一
■ 平家物語・巻第一
あらすじ
…
祇園精舎の鐘の声で始まる冒頭は、諸行無常と盛者必衰が織りなす平家物語の象徴である。その思想と世界観を体現する平家の栄枯盛衰の物語は、「殿上闇討」で描かれる、平清盛の父、忠盛の栄達と軋轢から幕を開ける。忠盛によって勝ち取られた平家の朝廷内での地位は、嫡男清盛に引き継がれ、清盛は権力の階段を一気に駆け上る。保元・平治の乱で武勲を立てた清盛は、武家として初めて太政大臣となり、我が世の春を謳歌する。権力を手にした平家一門の横暴は、清盛を筆頭に止まるところを知らない。しかし、一度鳴った鐘の音は、どれだけ大きくとも最後は消え行くように、美しく咲き誇る花々も、いずれは色あせ枯れて行くように、栄華を極めた平家もまた、権力の頂点に立った瞬間から、海の藻屑となって滅亡するまでの坂道を転がり始める。
□ 平家物語・巻第一の原文・現代語訳(口語訳・解釈)
祇園精舎
『
祇園精舎の鐘の声…
』:冒頭
『
その先祖を尋ぬれば…
』:平清盛の先祖
殿上闇討
『
しかるを忠盛備前守たりし時…
』:平忠盛、殿上人となる
『
その上、忠盛の郎等…
』:平家貞、忠盛に対する闇討ちを阻止
『
忠盛御前の召に舞はれければ…
』:忠盛、殿上人に嫉まれ、嫌がらせを受ける
『
五節には…
』:五節の際にあった過去の嫌がらせの事例
『
案のごとく五節果てにしかば…
』:忠盛に関する讒言
『
陳じ申しけるは…
』:鳥羽上皇、忠盛に対する讒言を退けるとともに、その機転を賞賛
鱸
『
その子どもは…
』:平忠盛の歌と忠度の母となる女房との恋
『
かくて忠盛…
』:平清盛登場
『
平家かやうに繁昌せられけるも…
』:熊野権現の御利益
禿髪
『
かくて清盛公…
』:清盛の出家
『
また、いかなる賢王賢主の御政も…
』:少年兵を使った言論統制
我身栄花
『
我身の栄花を極むるのみならず…
』:清盛の息子たち
『
その外、御娘八人おはしき…
』:娘の政略結婚
『
日本秋津島は…
』:平家の経済基盤(知行国と荘園)
祇王
『
入道相国…
』:白拍子の物語
『
京中の白拍子ども…
』
『
かくて三年と申すに…
』
『
仏御前は、すげなう言はれたてまつつて…
』
『
入道出であひ対面して…
』
『
仏御前は、髪姿よりはじめて…
』
『
祇王もとより思ひまうけたる道なれども…
』
『
かくて今年も暮れぬ…
』
『
母とぢこれを聞くに悲しくて…
』
『
独り参らむは…
』
『
その後入道、祇王が心のうちをば知りたまはず…
』
『
親の命をそむかじと…
』
『
かくて春過ぎ夏たけぬ…
』
『
祇王、「あれはいかに…
』
『
かやうに様をかへて参りたれば…
』
二代后
『
昔より今に至るまで
…
』:後白河上皇と二条天皇親子の不和
『
故近衛院の后…
』:故近衛天皇の皇后多子
『
大宮かくと聞こし召されけるより…
』
『
既に御入内の日になりしかば…
』:多子、二条天皇の后となる
額打論
『
さる程に、永万元年の春のころより…
』:二条天皇の崩御と六条天皇(二歳)の即位
『
さる程に、同七月二十七日…
』:二条天皇の葬送における興福寺僧兵の横暴
清水寺炎上
『
山門の大衆、狼藉をいたさば…
』:延暦寺の僧兵、興福寺の末寺清水寺に放火
『
宗徒帰り上りにければ…
』
東宮立
『
さる程に、その年は諒闇なりければ…
』:高倉天皇(八歳)の即位と外祖父平時忠の栄華
殿下乗合
『
さる程に、嘉応元年七月十六日…
』:後白河上皇の出家
『
平家もまた…
』:平資盛が摂政藤原基房に非礼を働き、制裁の暴行を受ける
『
資盛朝臣、はふはふ六波羅へおはして…
』:資盛が清盛に事件を報告し、清盛激怒
『
その後、入道相国…
』:清盛、基房に報復(史実では重盛が報復)
『
御車ぞひには…
』:平家の悪行の始め
鹿谷
『
これによつて、主上御元服の御定め…
』:高倉天皇の元服と清盛の娘、徳子の入内
『
そのころ、妙音院の太政のおほいとの…
』
『
新大納言これに恐れをもいたされず…
』
『
そのころの叙位、除目と申すは…
』:重盛が左大将に、宗盛が右大将に昇進
『
東山の麓、鹿の谷といふ所は…
』:鹿ケ谷の陰謀
俊寛沙汰・鵜川軍
『
この法勝寺の執行と申すは…
』:俊寛と祖父源雅俊
『
安元三年三月五日…
』
『
北面は、上古にはなかりけり…
』:北面の武士
『
かの西光の子に…
』:加賀の目代近藤師経、白山の僧兵と戦い、敗北
『
その後、当国の在庁ども催し集め…
』
願立
『
神輿をば、客人の宮へ入れ奉る…
』:白山中宮の神輿、比叡山にある客人の宮に到着
『
賀茂川の水、双六の賽、山法師…
』:白河院、鳥羽院の脅威、比叡山
『
去んじ嘉保二年三月二日…
』:藤原師通、比叡山の僧を撃退し呪われる
『
やがてその夜、不思議のことあり…
』:師通病に倒れ、その母、日吉大社で山王に快復を祈願
『
衆生等たしかに承れ…
』:山王の御託宣
『
母上は、御立願のこと…
』:師通、山王の御託宣どおり三年の延命の後、死去
御輿振
『
さる程に山門の大衆…
』:延暦寺宗徒の強訴
『
大衆無勢たるによつて…
』:源頼政の機転
『
若大衆どもは…
』
『
さて、神輿を先立て参らせて…
』:比叡山の宗徒、平重盛に撃退される
内裏炎上
『
夕に及んで…
』:神輿問題に関する公卿僉議
『
同十四日の夜半ばかり…
』:延暦寺宗徒による再強訴計画
『
平大納言時忠卿…
』:平時忠の知略
『
同二十日、花山院権中納言忠親郷を上卿にて…
』:藤原師高、師経兄弟に対する処罰
『
同四月二十八日、亥刻ばかり…
』:安元の大火で内裏炎上
『
大極殿は…
』:大極殿の火災と再建の歴史
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