平家物語・巻第七(原文・現代語訳)
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巻第七
■ 平家物語・巻第七
あらすじ
…
不世出の奸雄、平清盛は死んだ。それは、平家滅亡の序章であった。横田河原の合戦に勝利した木曽義仲は、北陸に勢力を拡大する。これに対し、平家は、平維盛以下、十万の討伐軍を派遣した。義仲の軍勢は五万。戦力的に不利な義仲は、自然の要害をなす砥浪山に陣を構え、平家を迎撃する。果たして、平家の大軍は、義仲の奇策によって倶利迦羅峠の谷底に突き落とされて壊滅し、一門を支える武力の大半を失った。平家を追撃しながら、越前さらには近江へ向かった義仲は、比叡山に至る。眼前の敵に、平家は反撃の準備もままならない。その最中、後白河法皇失踪という衝撃の事実に直面した平家は、政権の正当性を担保する権威の象徴までも失ってしまう。ここに至って抗戦を断念した平家は、幼主、安徳天皇とともに都を落ちる。平家が流浪の集団と化す、その瞬間であった。
□ 平家物語・巻第七の原文・現代語訳(口語訳・解釈)
清水冠者
『
寿永二年三月上旬に…
』:源頼朝、計略によって、木曽義仲の嫡男、義重を人質とする
北国下向
『
さる程に木曽、東山、北陸両道を従へて…
』:平家、木曽義仲討伐軍を派遣
竹生島詣
『
大将軍維盛、通盛は進み給へども…
』:平経正、竹生島に赴く
『
頃は、卯月中の八日の事なれば…
』:経正、竹生島明神の化身、白竜と出会う
火打合戦
『
木曽義仲、身柄は信濃にありながら…
』:木曽義仲勢、越前の火打が城に立て籠もる
『
城の内にありける平泉寺の長吏斎明威儀師…
』:義仲勢の斎明が平家に内通し、火打が城陥落
『
同五月八日、加賀国篠原にて勢揃あり…
』:義仲、砥浪山に急行
願書
『
木曽宣ひけるは…
』:木曽義仲の策略
『
木曽は、羽丹生に陣取つて…
』:義仲と八幡大菩薩
『
この覚明はもと儒家の者なり…
』:義仲の右筆、覚明と平清盛の因縁
『
その願書に曰く…
』:義仲、平家撃退の願書を八幡宮に奉納
『
昔、神功皇后…
』:神功皇后の新羅征討と霊鳩
倶利迦羅落
『
さるほどに、源平両方…
』:木曽義仲、平家の大軍と対陣し、策謀を巡らす
『
次第に暗うなりければ…
』:倶利迦羅峠の戦い
『
明くる十二日…
』:志保の戦い
篠原合戦
『
そこにて諸社へ神領を寄せられけり…
』:平家方坂東武者の最期
『
さる程に、平家は人馬の息を休めて…
』:平家方畠山重能対源氏方今井兼平
『
次に平家の方より高橋判官長綱…
』:高橋長綱、敵の若武者入善行重に情けをかけ、討たれる
『
また、平家の方より武蔵三郎左衛門有国…
』:武蔵有国の立死
実盛
『
また、武蔵国住人、長井斎藤別当実盛…
』:斎藤実盛の奮戦
『
手塚太郎、郎等が討たるるを見て…
』:実盛の最期
『
樋口次郎、ただ一目見て…
』:老武者実盛が戦場に臨む際の身嗜み
『
錦の直垂を着たりける事は…
』:実盛、死に装束で故郷に錦を飾る
玄ム
『
上総守忠清、飛騨守景家は…
』:天皇の神宮行幸
『
その亡霊荒れて…
』:藤原広嗣の亡霊、玄ムに祟る
木曽山門牒状
『
木曽、越前の国府について…
』:木曽義仲、比叡山延暦寺を警戒
『
その状に云はく…
』:義仲、延暦寺に牒状を送る
『
義仲去にし年の秋…
』:義仲、延暦寺に協力を要請
返牒
『
案のごとく、山門の大衆この状を披見して…
』:源平いずれに味方するかを決する延暦寺の評議
『
木曽殿また、家子郎等召し集めて…
』:延暦寺、木曽義仲との同盟を伝達する返牒を送付
平家山門連署
『
平家はこれを知らずして…
』:平家、延暦寺との同盟を画策
『
その状に云く…
』:平家が延暦寺に宛てた願書
『
いかに況んや、忝く臣等が曩祖を思へば…
』:平家の幹部、連名で延暦寺に同盟を要請
『
貫首これを憐み給ひて…
』:延暦寺の衆徒、平家の要請を拒絶
主上都落
『
同七月十四日、肥後守貞能…
』:平家、各地に分散配置した戦力を都に集結
『
同七月二十四日の小夜更け方に…
』:後白河法皇、失踪
『
さる程に、「法皇、都の内にも渡らせ給はず…
』:安徳天皇、都落ち
『
明くれば七月二十五日なり…
』:摂政藤原基通、平家と袂を分かつ
維盛都落
『
平家の侍、越中次郎兵衛盛嗣…
』:平維盛、妻子を残して都落ちすることを告げる
『
既にうつ立たんとし給へば…
』:維盛の妻子、ともに都落ちすることを要望
『
さる程に、御弟新三位中将資盛卿…
』:維盛、妻子を斎藤五、六兄弟に託す
聖主臨幸
『
或は聖主臨幸の地なり…
』:平家の放火によって焼き尽くされた平安京
『
去んぬる治承四年七月…
』:平宗盛、坂東武者三人を助命し、故郷へ帰す
忠度都落
『
薩摩守忠度は…
』:平忠度、藤原俊成に自作の歌集を託し、勅撰集への入選を請願
『
三位これを開けて見て…
』:忠度との誓いを果たす俊成
経正都落
『
修理大夫経盛の子息…
』:平経正、下賜された琵琶、青山を守覚法親王に返還
『
さて、暇申して出でられけるに…
』:経正と行慶の惜別
青山之沙汰
『
この経正十七の年…
』:唐伝来の琵琶、青山にまつわる秘話
一門都落
『
池の大納言頼盛卿も…
』:平頼盛、平家一門から離脱
『
そもそも、池殿の留まり給ふ事をいかにといふに…
』:頼盛、仁和寺の常葉殿に潜伏
『
さる程に、小松殿の公達は…
』:平維盛、本隊に合流
『
落ち行く平家は誰々ぞ…
』:落ち行く平家の人々
『
肥後守貞能は、川尻に源氏待つと聞いて…
』:平貞能、本隊を離脱し、京都に帰還
『
京中に残り留まる平家の余党を討たんとて…
』:貞能、源頼朝麾下の宇都宮朝綱に投降
福原落
『
平家は、小松三位中将維盛卿の外は…
』:家族揃って都を落ちる者、家族を残して落ちる者
『
福原の旧都に着いて…
』:平宗盛、平家一門の結束を確認
『
福原の旧里に一夜をこそ明されけれ…
』:福原で過す最後の夜
『
明けぬれば、福原の内裏に火をかけて…
』:福原炎上
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