平家物語・巻第九(原文・現代語訳)
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巻第九
■ 平家物語・巻第九
あらすじ
…
後白河法皇と敵対し、逆賊となった木曽義仲は、源頼朝が派遣した討伐軍の攻撃を受け、琵琶湖の畔で敗死する。朝日将軍とも呼ばれた男のあっけない落日であった。その頃、西国に逃れた平家は瀬戸内の拠点を攻略しつつ東上し、摂津の一ノ谷まで勢力を挽回していた。これに対する源氏は、義仲討伐の余勢を駆り、頼朝の異母弟、範頼、義経が采配を振って、平家追討に向かう。中でも、天才戦略家、源義経は、その能力を遺憾なく発揮し、僅かな軍勢で平家の大軍を撃破して、海へと追い落とす。一門の名だたる武将たちが討死した平家は、回復し難い損害を蒙りながら屋島へと撤退した。
□ 平家物語・巻第九の原文・現代語訳(口語訳・解釈)
生ずきの沙汰
『
寿永三年正月一日…
』:源頼朝、木曽義仲追討を発令
『
その頃、鎌倉殿に、いけずき…
』:梶原景季、頼朝に名馬、いけずきを所望するも、拒絶される
『
各々、鎌倉を立つて…
』:梶原景季、佐々木高綱にいけずきを与えた頼朝に遺恨
『
佐々木四郎は何心もなく歩ませて出で来たり…
』:佐々木高綱、梶原景季の敵意を機知でかわす
宇治川先陣
『
佐々木四郎が給つたる御馬は…
』:京を目指し進攻する頼朝軍
『
ここに、大将軍九郎御曹司…
』:佐々木高綱、宇治川を渡河し、先陣を切る
『
畠山五百余騎でやがて渡す…
』:頼朝軍、宇治川の戦いで義仲軍を撃破
河原合戦
『
軍破れにければ、鎌倉殿へ飛脚をもつて…
』:木曽義仲と六条高倉の女房
『
六条河原にうち出でてみれば…
』:源義経、仙洞御所に参上
『
九郎義経その日の装束には…
』:源義経、後白河法皇に拝謁
『
木曽は、もしの事あらば…
』:木曽義仲、賀茂川沿いを敗走
木曽最期
『
木曽殿は信濃より、巴、山吹とて…
』:木曽義仲と巴御前
『
木曽は長坂を経て丹波路へ赴くとも聞こえけり…
』:木曽義仲と今井兼平の再会
『
木曽左馬頭、その日の装束には…
』:巴御前の奮戦と戦線離脱
『
今井の四郎、木曽殿…
』:木曽義仲と今井兼平の別れ
『
今井四郎ただ一騎…
』:木曽義仲の最期
樋口被討罰
『
今井が兄、樋口次郎兼光は…
』:死に様を子に伝えようとする茅野光広
『
樋口次郎は児玉党に結ぼほれたりければ…
』:樋口兼光の投降と児玉党による助命嘆願
『
同二十二日、新摂政殿とどめられ給ひて…
』:樋口兼光、斬首
『
平家はこぞの冬の頃より…
』:平家、一の谷で蠢動
六箇度軍
『
平家福原へ渡り給ひて後は…
』:四国の武士団、平家に叛旗を翻す
『
その国に源氏二人あり…
』:平教経、淡路で源義嗣、義久を撃破
『
門脇中納言、それより福原へ上り給ふ…
』:沼田次郎、敗れて捕虜となる
『
又、淡路国の住人安摩の六郎忠景…
』:安摩忠景と園辺忠康の敗戦
『
又、伊予国住人河野四郎通信…
』:平教経、四国の反乱を鎮圧し、福原に凱旋
三草勢揃
『
正月二十九日、範頼、義経院参して…
』:平清盛の命日と福原での叙位除目
『
平氏既に福原まで攻め上つて…
』:全真と梶井の宮の交流
『
さる程に、源氏は四日寄すべかりしが…
』:源氏、一の谷へ向けて出陣
三草合戦
『
平家の方には大将軍小松新三位中将資盛…
』:田代信綱、源義経に平家陣地への夜襲を献策
『
平家の方には、その夜…
』:平家、三草山で夜襲を受け、総崩れ
老馬
『
大臣殿は安芸右馬助能行を使者で…
』:平教経、源義経の迎撃に向かう
『
五日の暮方に…
』:源義経、一の谷攻略に分進合撃を選択し、自らは鵯越の背面へ進発
『
又、武蔵国住人別府小太郎とて…
』:源義経、険しい山道の先導に老馬を用いる
『
武蔵坊弁慶…
』:源義経、平家が籠る一の谷への逆落しを決断
一二之懸
『
六日の夜半ばかりまでは…
』:熊谷直実、自身との先陣争いが予想される平山季重の動向を探る
『
一の谷近く塩屋といふ所に…
』:熊谷直実、先陣の名乗りをあげるも、平家、これを相手とせず
『
さる程に、又後ろに武者こそ一騎続いたれ…
』:成田五郎の策謀で先陣に遅れた平山季重、到着
『
熊谷、平山、かれこれ五騎で控へたり…
』:一の谷の戦い、開戦
『
熊谷は馬の太腹射させて跳ぬれば…
』:熊谷直実、直家父子の奮戦
『
これを聞いて、越中次郎兵衛…
』:少数の源氏が、平家の大軍を攪乱
二度之懸
『
さるほどに、成田五郎も出で来たり…
』:河原高直、盛直兄弟、生田の森の平家方城内に突入
『
これら弟兄、究竟の弓の上手なれば…
』:河原兄弟、敢闘するも真名辺五郎の弓に射抜かれ討死
『
次男平次景高…
』:梶原勢、生田の森に突撃するも、平家に撃退され、梶原景季、行方不明
『
梶原大音声をあげて名乗りけるは…
』:梶原景時、再び生田の森に突撃し、景季の救出に成功
坂落
『
これをはじめて、秩父…
』:源義経、一の谷の後方、鵯越に到着
『
御曹司、城郭はるかに見渡いておはしけるが…
』:鵯越の逆落し
『
村上の判官代基国が手より火を出だし…
』:平家、一の谷の戦いで惨敗し、屋島へ撤退
越中前司最期
『
大手にも浜の手にも…
』:平盛俊と猪俣則綱の一騎打ち
『
既に首をかかれんとしけるが…
』:絶体絶命の危機に陥った猪俣則綱の計略
『
しばしあつて、黒革威の鎧着て…
』:猪俣則綱、不意打ちにより平盛俊の首を取る
忠度最期
『
薩摩守忠度は…
』:岡部忠純、平家の大将軍と思しき人物を捕捉
『
薩摩守…
』:岡部忠純、遺された歌から、討ち取った大将軍が平忠度であると知る
重衡生捕
『
本三位中将重衡卿は…
』:平重衡、馬を射られ、窮地に陥る
『
三位中将…
』:庄高家に捕縛された平重衡と主君を見捨てた後藤盛長の後日譚
敦盛最期
『
いくさやぶれにければ…
』:熊谷直実、平敦盛を捕らえる
『
熊谷涙をおさへて申しけるは…
』:熊谷直実、平敦盛を討ち取る
知章最期
『
門脇中納言教盛卿の末子蔵人大夫業盛は…
』:平知章、父の知盛を庇い討死
『
この馬、主の別れを惜しみつつ…
』:平知章の死を悼む平家一門
落足
『
小松殿の末子、備中守師盛は…
』:平師盛、通盛、相次いで討たれる
『
今度討たれ給へる宗徒の人々には…
』:敗残の将兵を乗せて瀬戸内の海に漂う平家の舟々
小宰相身投
『
越前の三位通盛の卿の侍に…
』:小宰相、夫、平通盛の訃報に動揺す
『
かくと聞こえし七日の日の暮ほどより…
』:小宰相、夫について語る
『
なんど、こまごまと宣へば…
』:小宰相、入水
『
一の谷より屋島へおし渡る…
』:亡くなった小宰相を弔う家臣たち
『
この女房と申すは…
』:平通盛と小宰相の馴れ初め
『
さて、宮仕へ給ふほどに…
』:平通盛と小宰相の仲を取り持った上西門院
『
中頃、小野小町とて…
』:あの世へ旅立った平通盛と小宰相
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