小倉百人一首 - 紫式部

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57 紫式部
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな
現代語訳  
めぐりあって見たのがそれだったのか、それでなかったのかも判らない間に雲隠れしてしまった夜中の月のように、(幼なじみの)あなたはあっという間にいなくなってしまいましたね。
作者  
紫式部 (むらさきしきぶ)
970年代〜1010年代 平安中期の作家、歌人。藤原為時の娘。藤原宣孝の妻。大弐三位の母。『源氏物語』、『紫式部日記』の作者。幼少期から文学的才覚を現し、一条天皇の中宮彰子に仕えたころから『源氏物語』の執筆をはじめたとされる。
文法と語句
めぐりあひて ― 字余り。「めぐりあひ」の対象は、表面上、「月」であるが、新古今集の詞書から、実際は、幼馴染の友人(女性)であることがわかる。
見しやそれともわかぬ間に ― 「し」は、過去の助動詞「き」の連体形。「や」は、疑問の係助詞で、結びは省略。「それ」は、月。実際は、友人を重ねている。「と」は、引用の格助詞。「も」は、強意の係助詞。「わか」は、カ行四段の動詞「わく(分く・別く)」の未然形。「ぬ」は、打消の助動詞「ず」の連体形。「に」は、時を表す格助詞。
雲がくれにし ― 「雲がくれ」は、「月が雲に隠れる」の意であるが、実際は、「友人がいなくなる」ことを表す。「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形。「し」は、過去の助動詞「き」の連体形。
夜半の月かな ― 「夜半」は、夜中。「かな」は、詠嘆の終助詞。『新古今集』では、「夜半の月かげ」となっている。「めぐる」と「月」は縁語。

この歌は、詞書がなければ、その真意がわからない歌の典型である。歌を見る限り、“月”が主題であるように思えるが、実際は、幼馴染とのつかの間の再会を詠っている。当時、紫式部と同程度の中流貴族階級の女性は、受領として赴任する父や夫とともに地方に下ることが多く、この歌は、そうした状況に伴う再会の喜びと別れの寂寥感を詠み込んでいる。都人にとって、地方は異境であり、京の価値観が通用しない別世界であった。紫式部も、その例外ではなく、越前守となった父に随って越前(福井県)に赴いたものの、現地の生活に耐え切れず、一年後に単身帰京した。

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