小倉百人一首 - 光孝天皇

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15 光孝天皇
君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ
現代語訳  
あなたのために春の野に出かけて若菜をつんでいる私の衣の袖に、次々と雪が降りかかってくる。
作者  
光孝天皇 (こうこうてんのう)
830〜887 在位884〜887 第58代天皇。藤原基経により廃位された陽成天皇に代わって55歳で即位。
文法と語句
君がため ― 「君」は、若菜を贈った相手。万葉時代の「君」は、天皇・主君・敬意の対象となる男性などをさすことが一般的であったが、平安時代には、女性にも用いられるようになった。この場合の相手は、不明。女性と解するのが通説。「が」は、連体修飾格の格助詞。「君がため」で「君のため」の意。
春の野に出でて若菜つむ ― 八音で字余り。「若菜」は、春の七草。正月に食べると、邪気をはらうことができるとされた。

わが衣手に雪は降りつつ ― 天智天皇の「わが衣手は露にぬれつつ」と類似の表現。天智天皇の歌は、作者不明の歌が変遷して御製となったものであるが、この歌は、光孝天皇が皇子であった時の作品で、正真正銘の御製。降りつづく冷たい「雪」を、「君がため」「春の野」「若菜」という温かな表現が解かすかのような、やさしく穏やかな印象の作品になっている。天智天皇の御製が、理想的な君主像を象徴している一方で、光孝天皇の御製からは、温厚な人柄をうかがい知ることができる。

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