小倉百人一首 - 周防内侍

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67 周防内侍
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
現代語訳  
春の短い夜の夢ほどの添い寝のために、何のかいもない浮名が立ったとしたら、本当に口惜しいことです。
作者  
周防内侍 (すおうのないし)
生没年不詳。平安後期の歌人。周防守平棟仲の娘か。仲子。後冷泉天皇から堀河天皇まで4代約40年にわたり女官として仕えた。
文法と語句
春の夜の夢ばかりなる ― 「春の夜」は、秋の夜(長)の対義語で、短い夜を表す。「春の夜の夢」は、短い夜に見る、すぐに覚める浅い夢の意。「ばかり」は、程度を表す副助詞。
手枕に ― 「手枕」は、腕枕。千載集の詞書によると、二条院に人々が集まって物語などをして夜を明かしたときに、周防内侍が、「枕がほしい」と静かに行ったところ、御簾の下から藤原忠家が腕を差し出してきた。その誘いをかわすために、この歌を詠んだという。

かひなく立たむ名こそ惜しけれ ― 「こそ」と「惜しけれ」は、係り結びの関係。「かひなく」は、腕(かいな)と甲斐・詮・効(かい)の掛詞。「む」は、仮定を表す助動詞。「名」は、浮名。「こそ」は、強意の係助詞。ほんの短い時間、腕枕で寝ただけで、意味のない浮名が立ったら口惜しいということ。

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