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有馬山 ― 摂津国の山。現在の神戸市北区にある六甲山系の一部。 |
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猪名の笹原 ― 摂津国の猪名川沿いに広がる原野。有馬山と猪名は、いずれも歌枕で、揃って詠みこまれることが多い。 |
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風吹けば ― 「吹けば」は、「動詞の已然形+接続助詞“ば”」で、順接の確定条件。風が吹けば笹原がそよぐことから、ここまでが、「そよ」を導き出す序詞。 |
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いでそよ人を ― 「いで」は、感動詞で、「さあ」の意。「そよ」は、掛詞。指示代名詞+間投助詞で、「そのことですよ」という意を表すとともに、擬声語として、笹原がそよそよと音をたてるさまを表す。後拾遺集の詞書に、「かれがれなる男の、おぼつかなくなど言ひたりけるによめる」とあることから、この歌は、自分から離れぎみの男が、「あなたが心変わりしたのではないかと気がかりだ」としらじらしく言ってきたことに対する返答であって、「人」は、相手の男を表す。 |
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忘れやはする ― 「やは」と「する」は、係り結び。「やは」は、反語の係助詞。「する」は、サ変動詞「す」の連体形で、「やは」の結び。 |