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みかの原 ― 「瓶原」。歌枕。山城(京都府)の木津川市。奈良時代には恭仁京が置かれた。 |
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わきて流るる ― 「わき」は、「分き」と「湧き」の掛詞。「湧き」は、「泉」の縁語。 |
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泉川 ― 現在の木津川。「いづみ」から「いつみ(何時見)」へと音を重ねて続く。ここまでが序詞。 |
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いつ見きとてか ― 「見」は、「逢う」の意。「き」は、過去の直接体験を表す助動詞。「か」は、疑問の係助詞。後の「らむ」と係り結び。この歌には、解釈の手がかりとなる人間関係が示されていない上、状況を説明する詞書もなく、男女関係がない状態で詠んだ歌なのか、かつての恋人について詠んだ歌なのか、空想上の物語を用いて言葉の技巧を凝らしただけなのかは不明。そのため、古来よりこの部分の解釈が分かれている。なお、兼輔の歌ではないという説もある。 |
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恋しかるらむ ― 「らむ」は、原因推量の助動詞の連体形で、「か」の結び。 |